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「地下鉄は自分だけの移動小劇場…乗客が私の演技を見て笑ってほしい」
今月8日午後7時40分、ソウル地下鉄2号線の車内。無表情にスマートフォンを見ている乗客たちの間で、道化師チェ・ジノさん(23)が空中のつり革をつかむふりをしていた。
列車が次の停車駅・乙支路3街駅へ向かうと、アンプ入りの四角いバッグから次駅案内音楽が流れ、彼は無言劇を始めた。身ぶりと表情だけで地下鉄で怒る老人になり、つばをつけて新聞をめくる中年男性にもなった。乗客たちは息を潜めて静かな演技を見守った。一部の乗客はスマホで撮影した。
1日平均669万人が利用するソウル地下鉄は暗黙の秩序がある空間だ。大半の乗客は静かに目的地へ向かう。この中で目立つ行動をすれば「迷惑客」「変人」などのレッテルを貼られやすい。
しかし彼の公演には予想外の称賛が続いている。SNSに投稿した「地下鉄ヴィラン」という題名の映像には、「迷惑客ではなく芸術家だ」「お金を払って見たい」など数万件の共感コメントがついた。
彼の演技は言葉なしで行動と表情だけで想像を現実に描くパントマイムだ。乗客と直接やり取りはせず、一人で静かに演じ、反応は乗客に任せる。
国民日報は今月8日、ソウル地下鉄2号線・合井駅で彼に会い同行取材した。退勤時間が過ぎた午後7時30分、合井駅を出発した彼は4号線ノウォン駅を経て東大門駅へ戻る32駅の間で、約1分の公演を4回行った。
彼にとって地下鉄1車両は48席と立ち見席を備えた小劇場だ。4号線・漢城大入口駅に差しかかる頃、客席を埋めた乗客の多くはスマホを見ていた。列車が吉音駅を過ぎ、乗客が15人ほどになると再び公演を始めた。そこで初めて乗客の視線が彼に向いた。
いつものように次駅案内放送を開演音楽として利用した。乗客が停車駅を混同しないためだ。車両を移動する乗客がいれば自然に道を譲りながら演技を続けた。
乗客が公演を見る余裕がないほど混雑している時は公演しない。地下鉄の風景に自然に溶け込むための自分なりの原則だ。
彼は「道化師は劇中の世界と現実をつなぐ役割だ」とし、「出退勤の地下鉄は蒸し暑く人とぶつかる最も現実的な空間だが、笑いを見つけられる場所になってほしい」と話した。
毎回良い反応ばかりではない。公演中に『不快だという苦情が入っている』という案内放送が流れたこともある。
彼は「道化師も地下鉄の迷惑客になり得るという警告音だ」とし、「それでも、より多くの人に公演を見てもらえる最後の機会だと思って必死に演じる」と語った。公演を終えた20代の道化師は別の車両へ移り、人波の中へ静かに消えていった。
引用元記事:https://n.news.naver.com/article/005/0001844629?ntype=RANKING
